000000 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

水 沢 有 美

水 沢 有 美

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第15回

水沢有美さんと<青春学園シリーズ>第15回
 第一部:夏木陽介主演『青春とはなんだ』(14)
ラス前の一本 ~『青春とはなんだ』第40話「なぐられた青春」篇~
 

 この第40話は、教頭の腰巾着としての印象しかない中川先生(藤木悠)の意外な側面が描かれると共に最終回への導入ともなっている一篇です。監督は高瀬昌弘、脚本がメインライターの須崎勝彌のコンビです。さっそく恒例のキャスティング・ボードを眺めてみよう。

1枚目 夏木陽介
2枚目 藤山陽子
3枚目 豊浦美子、岡田可愛、寺田農
4枚目 木村豊幸、矢野間啓治、関戸純方
5枚目 杉本哲章、柴田昌宏、木下陽夫、松浦忠
6枚目 水沢有美、松田八十栄、遠山智英子、田辺和佳子、卯月久美
7枚目 中山豊、岩本弘司、伊藤実、杉浦千恵
8枚目 賀原夏子、瞳麗子
9枚目 藤木悠、十朱久雄
10枚目 平田昭彦、山茶花究
11枚目 加東大介

 6枚目トップに水沢有美さんの名前がありますが、それ以外に注目すべきは卯月久美さんという名前が初クレジットされます。タイプ的には松田八十栄さんに似た細面のすらっとした方ですが、<青春学園シリーズ>の次回作『これが青春だ』のサブ女生徒として水沢有美さんと共にレギュラーになる方でもあります。『これが青春だ』のテストケース的な出演なのでしょうか。ここにも『青春とはなんだ』の大詰め感が伺えます。

 放送されたのは1966(昭和41)年11月6日で戦後から21年が経っていますが、この『青春とはなんだ』でも度々、戦争の傷跡が語られます。第10話「風に立つ」でも山角先生(加東大介)の戦友が敵役として登場しました。
 さて今回、水沢有美さんは6シーンに登場しますが、すべて教室のシーンです。中川先生と生徒たちとの軋轢が表面化、展開するシーンで何度か単発のセリフがあります。登場シーンを見ながら物語を追ってみましょう。

第1場面(#14)教室 開始19分頃
 中川先生の国語の授業中。黒板には「防人の歌」が板書されている。中川先生は戦争中の学友について語っているが、生徒たちはボールを投げあったり、編み物をしたり、漫画を読んだりと勝手なことをしている。優等生の高松も数学の内職をしていた。それを見た中川先生は、高松だけには聞いてほしかったと思わず平手打ちをしてしまう。一瞬の静寂の後、生徒たちから「暴力教師!」の大合唱が起こりいたたまれなくなった中川先生は教室を飛び出ていく。学校当局に抗議をしようという騒ぎの中、高松だけは「ぼく個人の問題だ。騒ぎを大きくしたくないんだ」と語るのだが、それに対して佑子(水沢有美)が「ダメね。被害者の当人が弱気になっちゃ」と苦言を呈するのでした。
 やがて野々村先生が飛んできてこの問題が職員会議に取りあげられることになったことが告げられます。

第2場面(#16)教室 開始24分頃
 野々村先生と生徒たちが高松を囲んで話しています。佑子は勝子、順子らと並んで聞いています。高松は「ぼく以外にも悪いことをしている人がいたのに中川先生はぼくだけに激しい怒りを投げかけたような気がします」と語るのです。

第3場面(#21)教室 開始30分頃
 職員会議の様子を報告する久保(木村豊幸)と寺田(矢野間啓治)たち。野々村先生が以外にも中川先生を擁護していることを聞き佑子は憤慨しながら言います。
佑子「頼りないわね。俺に任せておけとかなんとかいっちゃってさ」

 結局、野々村先生とクラスを代表して交渉する事件対策委員として事件の当事者である高松に松井勝子、久保と寺田の凹凸コンビの四人が選ばれます。山下順子も立候補するのですが、橘とのいきさつで殴られることもいいことだと主張し、勝子から一切口出しするなと厳命されてしまうのです。
これでしばらく水沢有美さんの出番はなくなります。四人は野々村先生の自宅へ行きますが、かえって野々村先生に怒鳴られるのです。中川先生が、授業中に言った戦争で亡くなった友人の名前を覚えているかと詰問されるのでした。

第4場面(#30)教室 開始40分頃
 野々村先生からクラスで誰も中川先生の友人の名前を覚えているものがいなかったら教師の冒涜であり、「ストライキをやったことに等しい。クラス全員に活を入れてやる」と言われ恐れおののく生徒たちですが、誰も覚えていません。思わず佑子はこぼします。
佑子「ああ、他に頼りになりそうな人は…」

 実は、堅く口出ししないことになっていた山下順子が覚えていたのです。

第5場面(#33)教室 開始44分頃
 めでたく野々村先生のカミナリを避けることが出来た生徒たちに向って、野々村先生はその理由を話します。教室の中にいる生徒の一人として水沢有美さんの佑子がいます。白いリボンでよくわかります。高松に「廊下にお前を待っている人がいるぞ」と声をかける野々村先生。

第6場面(#34)廊下 
 そこには中川先生が立っていました。和解する中川先生と高松の二人を教室の窓から顔を出して眺める生徒たちの一人として佑子の顔も見えます。同じ窓から水沢有美さんを含めて岡田可愛、豊浦美子、松田八十栄、遠山智英子らのメインの女生徒が一緒に顔を出しています。このショットはなかなかすぐれています。『青春とはなんだ』後半のメインの女生徒五人は、次回の第41話の最終話では、一緒になって活躍します。次回第16回で第一部である夏木陽介主演の『青春とはなんだ』篇は終りです。



© Rakuten Group, Inc.